それでも楽しい農業ライフ 2

家庭菜園

*このブログは実体験を元に農業の現状や生活、活動を小説風に綴っているブログです。

*農業に興味のある方や農家の方に少しでもお役に立てたら幸いです。

ストーリー 2

1

2022年3月22日、今日は初出勤の日だ。

JAの子会社ではあるが、年度の切り替えは2月で終わり3月から始まるようだ。

聞くところによると自分の他にも数人、新入社員がいるようだが

新入社員といっても皆、年齢もバラバラ、経歴も違うどちらかというと中途採用だ。

皆、たどたどしく挨拶をした。

最初の仕事はレタスの「定植(ていしょく)」。

定植は畑に育てた苗を植えること。

畑に移動し説明を受ける。

専用のバーナーでマルチを溶かし一緒に穴をあける「穴あけ」を中国人実習生がやってくれる。

その穴に苗を指していく(詳しいテクニックはまた別の記事で)。

どれくらい植えたかわからないが、かなりの数だった。

天気も悪い関係もあり、今日は午前中で終わった。

慣れない作業は疲れるが、今まで工場勤務だった自分にとってはとても新鮮な作業だった。

入社してから6か月は試用期間になっている。

給料は自給1000円。

アルバイトの扱いになるが、保険や税金などは会社の方でやってくれるのでその辺はとても親切で助かった。

しばらく自分ら新人は仕事がある時だけ呼ばれて終わったら帰るのサイクルで過ごした。

ここで問題が発生する。それは個人農家になった時に冬の収入がないことだ。

夏の時期にたっぷり稼いで冬にたっぷり遊ぶが出来れば理想だが難しいと周りから言われる。

農家だけではないが、物価が高騰しているので支出がとにかく多くなるので利益が昔より出にくくなっている。

だが、マイナスな事ばかり考えていても仕方がない。もともと自己啓発本を読むのが好きでどうしたらいいかは、わかっていた。

行動するのみ!

有るもので勝負をするしかない。今自分にあるのは間違いなく時間だ。

普通のサラリーマンが8時間またはそれ以上働いてるのに対し、自分は早く帰れたり休みになる。

副業を始める。今まさにブログを書いている、これが1つ目の副業だ。

そう簡単には収益が出ないことは心得ている。一流のブロガーの方でも始めて半年は1円にもならないことも多いらしい。一様にブロガーの方が「とにかく書く」「わからなくても、書かないことには始まらない」「やっていく中で改善」と発信している。

最初はアフィリエイト収入は狙わない。書く練習だと思いひたすら書き続ける。

2

4月も終わりに近づいてきて、だいぶ職場にも慣れ農作業にも慣れてきた。

ここ数週間は「定植」「播種」「マルチ敷きの補助」「肥料撒き」といった作業の繰り返し。

「播種(はしゅ)」とは文字通り種を播くこと。

播種にも2パターン有り、直接畑に播く方法・セルトレイ、ポットなどに播いてハウスで育苗する方法で

細かく分ければもう少し種類があるが大まかには上記の方法だ。

「マルチ敷き」は全マル(全面マルチャー)という機会を使う。

畑の中で使用する場合は免許は不要だが、道を走行させる場合は普通自動車免許と大型特殊免許が必要になる。

扱う機会の大きさによっては普通自動車免許のみでOKの場合もあるそうだが、入りたての新人にはまだまだ先の話。

「肥料撒き」は詳しく説明する必要もなく肥料を畑に播くこと。

この時期はこれらの作業をひたすら繰り返すが、出荷して(売れて)初めて収入になるため、この期間は実質収入は0だ。

自分は会社員の位置づけなので会社から給料が出るが個人農家さんは大変だ。

ここで自分の中で問題というか課題が発生した。

将来、独立し新規就農を目指している身としては、「育苗ハウスはどうする?どの規模で幾らお金がかかる」「中古にしても機械は買い揃え、保管場所も確保が必要だ」「畑はどのくらいの大きさがあれば十分か」「肥料の知識、農薬の知識と正しい使い方」「運搬に使う軽トラ(場合によってはトラック)も必要」などなど、正直お金がらみの課題が多い。

少しづつ買い揃えるしかないが、色々考えながらクリアしていこう。

不安と期待を抱えながら。

3

4月も終わりごろ、いよいよ初収穫、初出荷の時が来た。

今日まで定植して「タフベル」(市販の不織布より少し高級な布)を掛けておいたレタスが育った。

事前にタフベルを巻き取っておいたが、今作業もなかなか曲者で、とにかく長い上に朝露で濡れて重くなっている上に風が吹けば結構持ってかれるので、巻き取り機を使っているとはいえ結構な力仕事になる。

タフベルは寒さ除けの意味もあるが、長野県のような寒冷地では霜が降りるので霜よけの役割も大きい。

霜による被害は結構バカにならない。

品質が落ちるので本来の規格で出せず格下げをすることになるし、最悪は廃棄という決断をせざるを得ない。

畑に植えたら一安心とはいかないので意外と気を遣う。

しかも、巻き取り時に葉とタフベルがすれると変色することがある。

これも格下げになるので力仕事なのに慎重に行わなければならず農業って結構デリケートなんです。

さて、なんやかんやで収穫です。

とはいっても新人組は最初は箱詰めからです。

この地区でのレタスの規格は大きさでは「2L]「L」「18L]「M]「A]などで分けられる。

「L]が一般的にスーパーなどにも並ぶ、いちばん値段も良い大きさで、1箱で16個詰め。

「2L]は少し大きくなりすぎた規格でカット野菜などに用いられることが多いらしい、1箱12個詰め。

「18L」は少し小さいサイズで値段も少し落ちるが使い切るにはちょうど良いサイズだと個人的には思ってます。1箱18個詰め。

「M]は拳くらいの大きさで需要はわからない。基本JAへの出荷は規格をクリアしていれば全量JAの買い取りなので生産者としてはありがたい。1箱22個詰め。

「A]はA付きと言われ、大きさは満たしているが品質が良くないもの、葉が少ない、破れている、虫食いが少しあるなど、利益にはならないが最低限元は取れるかくらいの値段になる。市場の値動き次第ではマイナス計上してしまうことが有るので、思い切って廃棄する勇気も必要。

大きさ以外でも外葉(がいよう)と言われる食べない葉っぱを2枚つけるという約束がある。箱に詰めてるときや、運搬中に擦れたりして中身を痛めてしまうことを防ぐために付ける。

大きさや状態を確認しながら箱に詰めていく。

感覚を掴むまで時間が掛かるが、慣れるしかない。

中腰での作業になるので腰にもくる。

朝の6時くらいはまだ寒い。寒さと眠さとも戦いながら、行動するのみ。

3~4時間で200~300箱程度。1箱1600円・1玉100円と仮に計算すると480.000円の売り上げ。

ここから経費やJAの手数料が引かれ利益になる。

どれだけ良いものを良い規格で多く出せるかが肝心になる。

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